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今も進化する肉体と精神 角田信朗 (3/3)

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掲載日:2015.06.05

ヘビーデューティーとの出会い


—今実践されているヘビーデューティー・トレーニングはそういったマインドが必要になってくるのですね?
必要って言うか、養われる(笑)。そもそもトレーニングなんて言うのは、自分の中でダメと思ってそこで精神が切れてしまったら、それがいわゆる限界だと、勝手に決めちゃってるだけのことなんですね。


—今や日本では角田さんが一番のヘビーデューティーの実践者じゃないですか?
そこまで思い上がってはいませんが(苦笑)。 ただ、50歳でこのトレーニングと出会って、今それにもの凄くポジティブに取り組めている、そんな自分が好きなんです(笑)。これ大事(笑)。それが極意じゃないかと思います。人が何かをやっているときに他人の目にどう映るかではなく、自分としてどうありたいかということなんですね。これは、親しくさせていただいている松任谷由実さんもそう仰ってます。


—そこに至るまでのちょっとしたきっかけがあれば気付けるということですね?
誰にでも、ヒントはそこらじゅうに転がっていると思います。 気付きたいと思っている人は、それを拾い上げることができるけれど、思ってない人はそこにヒントがあってもそれに気付かないんですね。 トレーニングの技術を教えることも大切ですが、そのメンタリティの部分を伝えられたらいいんですけどね。でも、人によって価値観も感じ方も違うので、まとめていっぺんに指導できるものでもないので、なかなか難しいですよね。


—そういう観点で印象に残る選手はいますか?
K1で言えば魔裟斗は自分でそういった事が解っていること、それが彼の才能でしょうね。一回チャンピオンになって、ちょっと天狗になってその後負けた。タイトルを取り返しにいってまた負けたと。 そこで気付いた彼は、これは取り返すまでに3年計画だなと。

それからまずケビン山崎氏のところでフィジカルトレーニングを始めて、ある程度フィジカルがアップしたら、もうこれは必要ないと切り離す訳です。最終的には陸上トレーニングをやって心拍数を上げる、機能的なトレーニングに移行していったけど、これって、実は攻撃よりも、打たれたり、ダウンした時のダメージからの速攻回復の方にこそ、格段の効果があるんですね。

彼は勝つために必要なことの優先順位をきちっと付けて、それをひとつひとつ確実にクリアできる選手。それが魔裟斗です。だから僕は、彼のことを尊敬するんです。


—格闘技でもウェイトトレーニングでも何をやるにも、最終的にはハートの問題ということですね?
究極はね。ヘビーデューティーやっているとそれがよく解ります。 でもね、脚のトレーニングは特にキツい訳ですが、例えば、課題をクリアできると次は負荷を5kg刻みで増やして行くんですが、それをやっていくうちにどうしても壁にぶち当たりますよね。

それが2週くらい続くと、何をするかと言うと加圧トレーニングと、身体のアライメント(調整)をやるんです。一番力を発揮しやすい僕自身のベストな身体のポジションを調整してもらって、それで脚のトレーニングに入ると、意外にすんなりクリアしたりするんです。それもビックリするくらいクリアするんですね。10レップスでクリアになるものが、一気に15レップスできるとか。

ということは、生理的にはまだポテンシャルがあったのに、心理的限界がそれに歯止めをかけていた。しかし精神のクリアってそう簡単ではない。ところが、そこで肉体の調整をして臨むと、精神を凌駕して肉体が力を発揮する。 そこでクリア出来たら、精神的な壁を、肉体を通じてクリア出来る。そうすると、肉体と精神って、つねに表裏一体、そこが究極に面白いんですね。


—ヘビーデューティーで具体的にやられている脚の種目を教えてください。
レッグエクステンションとレッグプレスのスーパーセットで、レッグプレスはノンロック、つまり膝関節をカチッとロックして筋肉の緊張を解くのではなく、常にテンションをかけた状態での4秒かけて挙げ、4秒かけて下ろすスロートレーニングです。

レッグエクステンションとレッグプレスのスーパーセットで、レッグプレスはノンロック、つまり膝関節をカチッとロックして筋肉の緊張を解くのではなく、常にテンションをかけた状態での4秒かけて挙げ、4秒かけて下ろすスロートレーニングです。


—脚のトレーニングの過酷さがわかっているのにジムに足を向けて、また越えなければならないのですね?
脳の中で、これからジムに行けば何が起こるか?ってわかっているので、頭がブレーキをかけてしまうんですね。でもそれに慣れてくると、例えるならば、僕は高いところが苦手なのですけれど、今バンジージャンプを飛べと言われたら何の躊躇もなく飛べそうな気がするんです。飛んだら3秒くらいで終わりますよね? 飛ばないでそこで30分躊躇してたら、30分間恐怖を味わなければならないと思うと、3秒の方がずっと楽でしょ?(笑)。

それは理屈では誰でもわかっているのにできないのですが、これ(ヘビーデューティー・トレーニング)やってるとすんなり出来そうな気がするんですね。 これも慣れでね。 仕事の都合などで、少し前に脚のトレーニングが3週空いてしまったのですが、結果としては筋肉の出力は落ちてないんだけど、精神的にはダメですね。スクワットラックに入るのが怖くて、時間がかかった(笑)。


—そこに至るまでのちょっとしたきっかけがあれば気付けるということですね?
誰にでも、ヒントはそこらじゅうに転がっていると思います。 気付きたいと思っている人は、それを拾い上げることができるけれど、思ってない人はそこにヒントがあってもそれに気付かないんですね。 トレーニングの技術を教えることも大切ですが、そのメンタリティの部分を伝えられたらいいんですけどね。 でも、人によって価値観も感じ方も違うので、まとめていっぺんに指導できるものでもないので、なかなか難しいですよね。
 

ボクシングデビュー?




—ハードなヘビーデューティー・トレーニングに加えボクシング練習までされているとのことですが、そちらも成果が現れてきていますか?
井岡(一法)会長が、僕の練習を見ながらボソッと独り言を言っているんですよ。「一翔のタイトルマッチの前に師範の試合組もうかな」って。「会長、僕もう53歳ですよ。日本ボクシング協会のライセンスが下りません」と言うと「そこは特例ということで交渉して」なんて言われましてね(苦笑)。そんな簡単な世界ではないし、そんな気持ちは毛頭ありませんが、気持ちの中で、まかり間違ってそうなっても、世の中をあっと言わせるような動きが出来るようにしておきたい、という気持ちだけは持ち続けていたい。気持ちだけですよ(笑)。


—話は変わり、これから始まるフィジークコンテストについて、角田さんなりのイメージをお聞かせください。
今、カッコいいカラダ、とか、BESTBODYとかっていう言葉が注目されてますけど、本当のカッコ良さって、実は「気付き」なんだよ、と。見た目が、とか、腹が割れている、とかというのは、そこに気付いた奴の副産物として付いてくる物であって、気付きさえすれば、カッコいい身体を作ることも、自分の弱さを克服することも、そう難しい問題ではないんですね。

フィジークマガジンに期待するのは、フィジークコンテストに出ている人だけを取り扱うのではなく、いろいろな世界の、様々なカッコ良さにスポットライトを当てて欲しい、ってことかな。スポーツ界だけでなく、芸能界の人達も身体鍛えている人は多いですよ。一般の人達が、あれは特別な、あちら側の世界の人の話、と思ってしまうんじゃなくて、あれなら俺も、私も出来るかも、っていう、なるべく近いところからアプローチしていくといいんじゃないですかね?


—かつてK1のプロデューサーをやられていた角田さんからフィットネス業界発展の妙案はありませんでしょうか?
上半身裸で大胸筋が分厚くて、腹筋がボコボコと割れているっていうのをアピールすると、一般の人はすぐにボディビルと直結させるでしょ? シャツからチラッと覗かせる筋肉であれば、あ、カッコいいって思うんじゃないですか?(笑)。そのへんの演出戦略は必要でしょうね。


—一般にはボディビルに対する偏見もあるかと思いますが?
そうなんです。まずボディビルディングという言葉自体に、一般人は違和感を持っていますよね?なんかこう、ボディビルを否定しているんじゃなくて、また違ったスマートな言い方が何かあるのではないでしょうか?多分それを考えるのは、この業界(ボディビル・フィットネス)の人ではなくて、コピーライターなんじゃないかな。
 
本日はテレビ収録中にも関わらず、お時間をいただき、ありがとうございました。角田さんのお言葉はきっと全国のトレーニーに大きな励みになると思います。今後ともフィットネス業界発展のためにお力添えをよろしくお願い致します。


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  • 角田 信朗(かくだ・のぶあき)
    誕生日 : 1961年4月11日
    出身地 : 大阪府堺市
    肩書 : 正道会館空手・最高師範、K-1 競技統括プロデューサー、日本ハイインテンシティトレーニング協会最高顧問
    資格 : 関西外国語大学英米語学科卒業、英語教員免許取得(中学1級、高校2級)、ギネスブック認定バット折り世界記録保持者
    サイズ : 身長174cm 体重90kg B128cm W95cm H105cm S27cm

  • <取材協力企業様ご紹介>
    ジョンソンヘルステックジャパン株式会社 大阪支店

    <取扱ブランド>
    MATRIX FITNESS (マトリックス フィットネス)
    フィットネスクラブを中心とした業務用フィットネスマシン。トレッドミルやインドアサイクルなどのカーディオマシンと、シングルステーションやプレートローデッドなどのストレングスマシンがある。HORIZON FITNESS (ホライズン フィットネス)家庭用ユーザー向けにデザイン・開発されたフィットネスマシン。トレッドミル(ルームランナー)の他、クロストレーナーやエアロバイク、インドアサイクルを取り揃える。

フィットネス&ボディメイク情報誌
[ PHYSIQUE MAGAZINE 001 ]

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