08年栃木ボディビル選手権　優勝　田中裕也

08年日本選手権出場者の中で、まさしく″カットバリバリ″の選手がいた。同年の栃木選手権優勝者の田中裕也だ。日本選手権では惜しくも予選で姿を消してしまったが、その仕上がりはまさに皮一枚。本誌連載の『地方優勝者プロファイル』（ 09年3月号）で彼の姿を見て衝撃を受けた人も少なくないだろう。誰よりもカットを出すことにこだわる、その秘訣とは……。

昨年の日本選手権のあの仕上がりは素晴しいものがありましたね！
田中　ありがとうございます。ただ塩分を抜きすぎたせいか、当日の朝起きたときに″こんなに腕って細かったっけ？″と思ったし、全然張りがなかったですね。一緒にパンプアップをした岩谷選手はどんどん張っていくのに自分は全然張らないんですよ。ステージではポーズをとるたびに手をつり、足をつり、何をすればいいかも忘れてしまいました。

そこまで絞り込んだのは凄いですね。その前に行われた栃木県大会ではどうだったんですか？
田中　栃木のときは優勝はできたんですけど、正直自分では少しあまいと思って出たんです。独学で調整をしたんですけど、やっぱり難しいですね。その栃木県大会の会場で以前お世話になったことのある岡島裕之さんに偶然お会いできたいんです。そこで岡島さんにまた指導をしてくれるというお話をいただいて日本選手権に臨むことになったんです。

ということは岡島裕之さんのアドバイスがあって、あれだけ絞ることができたんですか？
田中　実は全日本の前に″俺って本当に全日本に出ていいのかな……″って悩んでいたんです。それで大会1ヶ月前に岡島さんのところへ行ったら「まずは尻までカットを出せ」と言われました。まずは尻をキラなくちゃ全体が落ちないっていう感じですね。自分はサイズでは他の選手に勝てないので、じゃあどこで勝負するかっていったら仕上がりなんですよね。それでインパクトを与えるなら尻が一番いいし、全日本でも尻を完璧にキッてくる選手はそうはいませんからね。だからやたらとバックポーズも練習しました。

そのお尻のカットを出すためにどのようなことをしたのでしょうか？
田中　朝一で有酸素運動ですね。自分はクロストレーラーをやるんですけど、いかに尻に効かせてやるかが大事ですね。それが終わったら尻だけのトレーニングを3種類やったりします。あとは立っているときでも常に尻に力を入れたりしましたね。ただ踵に重心が乗ってしまってぎこちなくなるんですが……。

たしかに常にお尻に力を入れるのは大変ですね。その効果はどうでしたか？
田中　変わりましたね。2週間で結果が出てきて「これだったら大会でもしっかり出るな」って岡島さんにも言われました。

効果覿面だったんですね。では他に何か変えたことはありましたか？
田中　トレーニングのやり方自体変わりましたね。自分は肩が弱点なので肩のトレーニングのテクニックも教えていただきましたし、食事の内容も変わりましたね。大会前の1ヶ月間はもやしやブロッコリーや大豆ばっかり食べてましたね。岡島さんは、わからなかったら「○○だからこれを摂らなくちゃいけない」っていうふうに全部説明をしてくれますし、知識はピカイチですね！

それは心強いですね！では今年はどの大会に出場される予定ですか？
田中　関東大会と東日本と全日本に出場しようと考えています。

だれか意識されている選手はいますか？『地方優勝者プロファイル』では「西谷芳春に負けないように頑張ります！」と書かれていましたが。
田中　彼とはいいライバルですね。もともとユニコーンで一緒に住み込みをしていたんですけど、初めて見たときは″同じ年でこんなにデカイやつがいるのか″って衝撃を受けましたね。それからは口も聞かないくらい仲が悪くなりました、ライバル視してましたからね。今、彼は新潟に行ってしまったんですけど、帰ってきたときには一緒にトレーニングしているくらい良い関係です。

すごくいいライバル関係ですね。
田中　でも彼の方が学生のときにチャンピオンになっていますし、北信越大会でも優勝していますから、早くこの差を縮めたいですね。だから頑張ってトレーニングして、彼が帰ってくるたびに″これで奴より大きくなっているだろう″って思うんですけど、彼も大きくなって帰ってくるんですよ。だからあいつも頑張ってるんだなって……。

相乗効果で二人がどんどんレベルアップしているんですね！
田中　そうですね。彼がいてくれたから自分もここまで頑張れたと思っていますし、本当にいいライバルだと思っています。まだ直接大会で戦ったことはないんですけど、今年はぜひ全日本のステージに一緒に立って直接対決したいですね！それが二人の約束でもあるので。

二人の対決、早く見てみたいです。それまでにはまた昨年のようにしっかり仕上げるんですよね？
田中　もちろんそうですね。人が出さないところまでカットを出します。今年は昨年よりバルクを残した状態で仕上げていきたいですね。そして西谷と二人で第2次ピックアップまで残りたいです。岡島師匠の恩返しのためにも頑張って、それで結果が出れば一番いいですね！

あのバキバキに絞った田中選手の姿をまた見られることを期待しております。調整も大変だと思いますが、ぜひぜひ頑張ってください！