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ビタミンEについて

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掲載日:2020.03.12
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・ビタミンEについて:脂に溶けるビタミン。
「α、β、γ、δ」の各トコフェロール、「α、β、γ、δ」の各トコトリエノールの8種類に分けられる。

・カラダでの主な作用:酸素を上手く利用できるようになり、スタミナが増す。血液をサラサラにして心臓病などを防ぐ。筋肉を強くする。細胞の老化を遅らせるなど。

・不足すると:疲れやすくなる。生殖機能の障害。筋肉が弱くなる。流産しやすくなるなど。

・摂り過ぎると:余計な分は排泄されてしまうため、摂り過ぎの心配は要らない。

・多く含む食品:小麦胚芽、ナッツ類、葉野菜、植物油、卵など。

抗酸化作用

「活性酸素とスカベンジャー」で詳しく触れていますが、ビタミンEのもっとも重要な作用は「抗酸化作用」です。

私たちの身体の細胞は「細胞膜」で覆われており、細胞の中に入ってよいもの、入ってはいけないものを峻別しています。

細胞膜の働きがダメになると、細胞は死んでしまいます。そして細胞膜は「不飽和脂肪酸」を含みます。
不飽和脂肪酸は活性酸素による傷害を受けやすく、水素が簡単に「過酸化」されて、脂肪酸の本体と分離してしまいます。
すると残った脂肪酸は「脂肪酸ラジカル」となり、また過酸化された水素もラジカルとなります。

こうしてラジカル連鎖反応が起こり、細胞膜に穴が空いてしまいます。それだけでなく、「過酸化脂質」も発生してしまいます。

抗酸化作用によってこれを防いでくれるのが、ビタミンEです。老化学の太祖であるネブラスカ大学のハーマン教授は「ラジカル老化説」を唱えました。

これは活性酸素が老化の原因であるとするものです。この説が出た後、細胞を何世代にもわたって分裂させていく実験が行われました。
すると、どれも30世代くらいで分裂できなくなったのです。これはDNAによるコピーの劣化が原因で、この現象を発見者の名をとって「ヘイフリックの限界」と呼びます。

そこでラジカルの害を防ぐため、ビタミンEを大量に使用する実験を行ったところ、ヘイフリックの限界を打ち破ることに成功しました。
ビタミンEを与えられた細胞は、30世代を超えても正常に分裂を続けたのです。

これは最近(2015年)行われた研究でも裏付けられており(※103)、もちろん試験管内の結果ですので、そのまま人体に応用できるわけではありませんが、ビタミンEの重要性を大いにサポートしてくれる結果となっています。

※103: Vitamin E Supplementation Delays Cellular Senescence In Vitro. Biomed Res Int. 2015; 2015: 563247. doi: 10. 1155/ 2015/ 563247. Epub 2015 Nov 3.
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  • 山本 義徳(やまもと よしのり)
    1969年3月25日生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。
    ◆著書
    ・体脂肪を減らして筋肉をつけるトレーニング(永岡書店)
    ・「腹」を鍛えると(辰巳出版)
    ・サプリメント百科事典(辰巳出版)
    ・かっこいいカラダ(ベースボール出版)
    など30冊以上

    ◆指導実績
    ・鹿島建設(アメフトXリーグ日本一となる)
    ・五洋建設(アメフトXリーグ昇格)
    ・ニコラス・ペタス(極真空手世界大会5位)
    ・ディーン元気(やり投げ、オリンピック日本代表)
    ・清水隆行(野球、セリーグ最多安打タイ記録)
    その他ダルビッシュ有(野球)、松坂大輔(野球)、皆川賢太郎(アルペンスキー)、CIMA(プロレス)などを指導。

  • アスリートのための最新栄養学(上)
    2017年9月9日初発行
    著者:山本 義徳


[ アスリートのための最新栄養学(上) ]