ビオチンの効果
掲載日:2019.12.08
ビオチンはビタミンHと呼ばれたこともありますが、通常はビタミンB群に分類されます。
ビオチンは主に「カルボキシル化」反応において働く栄養素ですが、これはカルボキシル基(-COOH)を導入する反応のことで、この逆が脱炭酸反応です。
糖新生や脂肪酸合成のときにも、この反応が起こります。
「脂肪酸とケトン体」を読まれた方でしたら、ミトコンドリア内にある「ピルビン酸カルボキシラーゼ」という酵素がピルビン酸からオキサロ酢酸を作り出す、というところを思い出すかもしれません。
この酵素もビオチンを補酵素とします。
ここの「カルボキシラーゼ」こそが、カルボキシル化を起こす酵素という意味なのです。
ビオチンは食物に十分含まれますので、普通は不足することはありません。
しかし最近の研究で、ビオチンにはAMPKを活性化し、また中性脂肪の値を下げて体脂肪合成に関わる遺伝子の発現を抑制するのではないかという報告が出てきました。
AMPKというのは細胞のエネルギーセンサーのような役割をしている酵素で、これが活性化すると「体内のエネルギーが不足している」とカラダは考えます。
そして体脂肪を燃やしてエネルギーに変えようと働きます。つまりAMPKが活性化すると体脂肪が燃えやすくなるということです。
マウスでの実験ですが、8週間の経過後、コントロール群は14.9%の体脂肪率、ビオチン摂取群は12.6%の体脂肪率でした。そしてビオチン摂取群は中性脂肪の値がコントロール群に比べて35%低くなりました。(※40,※41)
他にもビオチンにはインスリンの働きを高めたり、3系統のプロスタグランジンの産生を促進したり、ヒスチジンを排出することによってアレルギーを防いだりなどの作用があります。
ただしビオチンはαリポ酸と構造が似ており、どちらかを多く摂取すると、もう片方が不足する傾向にあります。
そのため、両方とも多めに摂取するようにしたほうがいいでしょう。「αリポ酸withビオチン」という名前のサプリメントもあるくらいです。
摂取量としては、厚生労働省の推奨所要量は一日に50μgです。しかしビオチンとしての効果を得るためには、その数十倍、つまり一日に2000μg、つまり2mgくらいが必要となります。なお過剰症の心配はまったくありません。
※40: The hypotriglyceridemic effect of biotin supplementation involves increased levels of cGMP and AMPK activation. Biofactors. 2012 Sep-Oct; 38( 5): 387-94. doi: 10. 1002/ biof. 1034. Epub 2012 Jul 17.
※41: Pharmacological concentrations of biotin reduce serum triglycerides and the expression of lipogenic genes. Eur J Pharmacol. 2010 Oct 10; 644( 1-3): 263-8. 10. 1016/ j. ejphar. 2010. 07. 009. Epub 2010 Jul 23.doi:
ビオチンは主に「カルボキシル化」反応において働く栄養素ですが、これはカルボキシル基(-COOH)を導入する反応のことで、この逆が脱炭酸反応です。
糖新生や脂肪酸合成のときにも、この反応が起こります。
「脂肪酸とケトン体」を読まれた方でしたら、ミトコンドリア内にある「ピルビン酸カルボキシラーゼ」という酵素がピルビン酸からオキサロ酢酸を作り出す、というところを思い出すかもしれません。
この酵素もビオチンを補酵素とします。
ここの「カルボキシラーゼ」こそが、カルボキシル化を起こす酵素という意味なのです。
ビオチンは食物に十分含まれますので、普通は不足することはありません。
しかし最近の研究で、ビオチンにはAMPKを活性化し、また中性脂肪の値を下げて体脂肪合成に関わる遺伝子の発現を抑制するのではないかという報告が出てきました。
AMPKというのは細胞のエネルギーセンサーのような役割をしている酵素で、これが活性化すると「体内のエネルギーが不足している」とカラダは考えます。
そして体脂肪を燃やしてエネルギーに変えようと働きます。つまりAMPKが活性化すると体脂肪が燃えやすくなるということです。
マウスでの実験ですが、8週間の経過後、コントロール群は14.9%の体脂肪率、ビオチン摂取群は12.6%の体脂肪率でした。そしてビオチン摂取群は中性脂肪の値がコントロール群に比べて35%低くなりました。(※40,※41)
他にもビオチンにはインスリンの働きを高めたり、3系統のプロスタグランジンの産生を促進したり、ヒスチジンを排出することによってアレルギーを防いだりなどの作用があります。
ただしビオチンはαリポ酸と構造が似ており、どちらかを多く摂取すると、もう片方が不足する傾向にあります。
そのため、両方とも多めに摂取するようにしたほうがいいでしょう。「αリポ酸withビオチン」という名前のサプリメントもあるくらいです。
摂取量としては、厚生労働省の推奨所要量は一日に50μgです。しかしビオチンとしての効果を得るためには、その数十倍、つまり一日に2000μg、つまり2mgくらいが必要となります。なお過剰症の心配はまったくありません。
※40: The hypotriglyceridemic effect of biotin supplementation involves increased levels of cGMP and AMPK activation. Biofactors. 2012 Sep-Oct; 38( 5): 387-94. doi: 10. 1002/ biof. 1034. Epub 2012 Jul 17.
※41: Pharmacological concentrations of biotin reduce serum triglycerides and the expression of lipogenic genes. Eur J Pharmacol. 2010 Oct 10; 644( 1-3): 263-8. 10. 1016/ j. ejphar. 2010. 07. 009. Epub 2010 Jul 23.doi:
[ アスリートのための最新栄養学(上) ]