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アスリートも知っておきたい腸管免疫の話 ニチニチ製薬株式会社 中央研究所 岡森万理子#2

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掲載日:2019.01.04
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日本最大級のスポーツ・健康産業総合展示会であるSPORTEC 2018内にて開催された、ニチニチ製薬株式会社 中央研究所 岡森万理子氏による講演「アスリートも知っておきたい腸管免疫の話」をレポート!

運動と免疫の関係を示す「Jカーブ仮説」

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上気道感染のリスクに関する「Jカーブ仮説」というものがあります。
通常、運動が不足している人に比べると適度な運動をすることで上気道感染のリスクは低くなりますが、過度の運動をすると疲労やストレスによって免疫が下がり、感染症のリスクは運動不足の方に比べて3倍近く高くなるというデータがあります。

ですので屈強なアスリートといえども、トレーニングのしすぎや十分な休養や栄養をとらなかったりすると、免疫力の低下による感染症のリスクが高い状態になります。

免疫力に関しては腸が重要な器官になっています。

人間は口から肛門までが長い一本の管となっていて、口から入ってきた食べ物や空気中の異物等を腸で受け止めて、そこで吸収するか排泄するかの選別がされます。
腸は外界と体内を結び、よろしくないものが体内に入ってくることを防ぐ最前線です。

そのため、免疫細胞の6割が腸に集中しています。それらの免疫細胞は常に見張っていて、腸でリンパ球が悪いものを見つけるとリンパ球がその情報を全身に伝えていくことが知られています。
なので腸をきれいにしておく、もしくは鍛えておくことでそれらがスムーズに行われ、免疫力を保つことができると考えられます。

免疫力増強効果が高い乳酸菌「エンテロコッカス」

先述のように乳酸菌は免疫系に貢献しますが、乳酸菌というのは一種類の菌のことを示すのではなく、グルコースから乳酸を半分以上作ることができる複数の菌の総称です。

弊社、ニチニチ製薬が扱っているのはエンテロコッカスと呼ばれる種類の菌で、約30年前から免疫力を高める菌として現在も研究を進めていて、これらを加熱殺菌にして粉末にした健康食品素材も扱っています。

乳酸菌は生きてお腹に届かなければ意味がないというイメージがありますが、加熱殺菌したもののほうが3倍近くの免疫力増強効果があるということが分かっております。エンテロコッカスと他の菌を比べてみても、飛び抜けて免疫効果が高くなっています。

マクロファージのように情報収集を行う細胞が外界からの異物を認知して、司令官であるリンパ球やナチュラルキラー細胞に情報の伝達を行います。
これらがさらに下にも司令を送りつつ直接攻撃を加えることで体を異物から守っています。病原菌が入ってきたのであれば病原菌を攻撃し、がん細胞があればそれを排除する働きをします。

感染症に対する効果

例として、ヘルペスに対する効果を見てみます。
ヘルペスは何割かの人が体内に持っているもので、免疫が下がった時に出てくるウイルスです。
帯状疱疹や口内炎の原因になり、痛い発疹が出てきたりします。ひどくなると入院して点滴をしなければいけなかったり、顔に発疹が出ると表情を変えることすらも痛みを伴うこともあります。
重症化すると非常に厄介な病気です。完全に消えてしまうことがなく、免疫が低下すると再発します。

そのヘルペスに関する実験があります。
ネズミに対して免疫力が低下する薬品を注射し、免疫を低下させた上で乳酸菌を食べさせる。その後にウイルスを注射して様子を観察していく。

そうすると乳酸菌を与えていないグループでは10日もしないうちにマウスが全滅してしまいます。
乳酸菌を食べていたグループは40%が20日以上生き残り、生存率に違いが出てきました。
つまり乳酸菌を食べることで免疫力が上がって、ウイルスに対する抵抗力が上がったと考えられます。

続きは近日公開!