JBBF アジア選手権選考大会 決勝リポート<メンズフィジーク>
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6月6日・7日に北九州で開催されるアジア大会は、1989年に鳥取で開催されて以来、実に26年ぶりの日本開催となる。26年前にはもちろんボディビルカテゴリーのみで、メンズフィジークやビキニが種目として加わっただけに大会のスケールも大幅にアップするものと思われる。
今回のアジア大会は本来8月に予定されていたが、中東諸国のラマダンの影響を鑑みたAFBF(アジア連盟)とIFBBの要求で急遽2ヵ月前倒しになった。
しかもこの発表があったのが昨年の年末ということで、そこからこの4月の選考大会に照準を合わせて、調整してきた選手には敬意を表すとともに、調整が間に合わなくて、日本代表の選考に漏れてしまった選手もその敢闘精神を称え、今後のコンテストでのリベンジに期待したい。
男子フィジーク<168cm以下級>
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左から6位・木下昭文、4位・多田哲、2位・宇野明訓、優勝・衛藤雄一、3位・山下公仁、5位・橋本祐樹
男子フィジークカテゴリーで、本大会最もエントリー数が多かったのがこのクラス。いわゆるショートクラスになる訳だが、いざステージに立つとどの選手もフィジークに適合した素晴らしいプロポーションと万全な調整をしてきているので、とても大きく見えるものである。
個々の選手に目を移すと6位・木下は昨年のコンテストでは力み過ぎていたが、ポーズにも慣れ、今回の大会でボディビルからフィジークへの転身を見事に果たしたと言えよう。
5位・橋本も東京クラス別などで活躍するボディビル経験者であるが、持ち前のプロポーションの良さと特に肩が充実してるだけに、フィジークに適した身体つきと言えよう。今回は腹筋を鍛え込んできたのが目に見えて分かった。
4位・多田は初めて見る選手だが、質感の良い筋肉でバランスも良い。どん欲に大会に出場して顔が売れてくれば、今後上位で戦えるだろう。
3位・山下は今回は完璧なまでに調整をしてきた。昨年は背筋が凄すぎて、亀が甲羅を背負っているようなイメージであったが、ポーズの改善もあってかバランスが断然良くなり、表彰台を獲得するまでに至った。
2位・宇野は、昨年度はボディビルからの転身1年目でポーズに固さがあったが、今回はポーズが完全に型にはまった感がある。捻りを加えたポーズは理想型とも言えるほど完成させてきた。今回は苦杯を喫する結果となったが、いつでもチャンピオンになれる素地はある。
優勝の衛藤は昨年の全日本大会で4位から一気に頂点を獲得した。もともと胸、肩、僧帽筋が丸く充実はしていたのだが、昨年8月の写真と比較すると明らかな筋量アップしているのがわかる。僅か7ヵ月余りでこれほどまでにインプルーヴできるとは素晴らしいのひと言である。アジア大会には衛藤がショートで選出された。
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優勝 衛藤 雄一 (東京)
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フィジークらしい立ち振る舞いになってきた 2位 宇野 明訓 (東京)
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3位 山下 公仁 (宮城)
優勝 衛藤 雄一 (東京)
2位 宇野 明訓 (東京)
3位 山下 公仁 (宮城)
4位 多田 哲 (東京)
5位 橋本 祐樹 (東京)
6位 木下 昭文 (東京)
男子フィジーク<172cm以下級>
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左から6位・川出貴士、4位・米田将司、2位・坂井大樹、優勝・徳久大器、3位・騠野一臣、5位・鈴木啓允
このクラスでは昨年10月の日本グアム親善大会のオーバーオール覇者・徳久大器が満票で優勝を飾った。徳久はオフでも体脂肪を付けることがないので、調整で失敗することがまずない。今回はポーズもかなり研究を重ねた感があり、文字通りミスターパーフェクトであった。
6位・川出は今回やや元気がないように見えたが、プレゼンテーション能力の高い選手なので、次回に期待しよう。
5位・鈴木は表情が固く、地味な印象があるので、リラックスしてコンテストを楽しめるようになると順位も上がってくるだろう。
4位・米田はこのクラスの常連になりつつあるが、今回はポーズが少々気になった。両肩の位置が後ろにいきハト胸になるような感じなので、背中を拡げることにより、結果肩の位置を前に出すようにしたらどうだろうか?
3位・騠野は今回初のコンテスト。筋量は申し分無くプロポーションも悪くない。今後ポーズの練習を重ねていけば、優勝争いに加わることだろう。現在気になる点は片脚に重心が乗ってしまうことと、バックポーズの際に僧帽筋に力が入ってしまうことだ。どれも練習すればすぐに解決する問題であろう。
2位・坂井は昨年全日本大会のチャンピオンであるが、回数を重ねるごとにポーズは良くなっている。また以前はブラックのボードショーツで強面の印象であったが、今回はイメージ一新。ブルーのボードショーツに笑顔の組合せは好感度を一気に高めることに成功したと言えよう。
フィジーク競技に於いては、表情を少し変化させることや、指先の形状を変えただけでガラッと印象が変わってしまう程シビアなものである。自分で鏡を見るだけの練習ではなく、他人に見てもらうことで人からどう見られるかを客観的に受け入れる必要がある。アジア大会には文句なしに優勝した徳久が選出された。
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優勝 徳久 大器 (東京)
徳久のマッスルはフロントもリアも付け入る隙なし
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2位 坂井 大樹 (滋賀)
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3位 騠野 一臣 (東京)
優勝 徳久 大器 (東京)
2位 坂井 大樹 (滋賀)
3位 騠野 一臣 (東京)
4位 米田 将司 (兵庫)
5位 鈴木 啓允 (栃木)
6位 川出 貴士 (栃木)
男子フィジーク<176cm以下級>
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左から6位・桑原晴彦、4位・珠玖悟史、2位・中村厚志、優勝・長谷川浩久、3位・有馬康泰、5位・中島良介
今回の男子フィジークカテゴリーで最もレベルの高いクラスで、ベスト6は粒ぞろいである。
6位・桑原はフィジーク初参戦。かねてからフィジークに適応する選手だと思っていたが、初めてながら見事にフィットしていた。腹筋、肩、腕が充実しているが、欲を言えば大胸筋を強化したいところだ。
5位・中島は恐らく初めて見る選手だが、欠点の少ない身体をしているが、あえて言うならば、もう少し肩の側面へ張り出しが出てくるとさらに上位が望めるだろう。
4位・珠玖は昨年の大阪オープン以来の出場だが、相変わらずの筋密度である。今回かなり絞り込んできたようだが、その分、腕の太さが若干失われたように見えた。
3位・有馬はいつも紳士的な落ち着いたステージングでフィジークの見本のような選手だ。今回は上位2名のバルクに押された感があったことは確かだが、環境さえ整えば、9月の全日本大会では優勝争いをすることができるだろう。部位的に言うならば、背筋群の強化を望みたい。
2位・中村のバルクにはいつも目が釘付けになってしまう。昨年の全日本、日本グアム親善大会、そして今回と確実にインプルーヴしている。昨年指摘した胴の太さは、かなり改善してきていて、フィジークらしいアウトラインになってきた。とにかく腕・肩のバルクは圧倒的で、腹筋も良い。今後、間違いなく世界をめざせる逸材である。
優勝は昨年の全日本チャンピオン・長谷川だ。今回は日本グアム親善大会の時ほどのキレ味はなかったが、持ち前の丸々とした筋肉とバランスの良さで、若くして王者の風格さえ漂わせていた。アジア大会ではバルクを残しつつ、グアムの時の絞り込みを実現してもらいたい。
このクラスの上位3名は毎回、高い次元で順位を争っている。順位を付けなければならないことに悲哀さえ感じてしまうのは恐らく私だけではないだろう。
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優勝 長谷川 浩久(大阪)
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圧倒的な筋量でチャンピオン・長谷川を追い詰めた 2位 中村 厚志 (埼玉)
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3位 有馬 康泰 (千葉)
優勝 長谷川 浩久(大阪)
2位 中村 厚志 (埼玉)
3位 有馬 康泰 (千葉)
4位 珠玖 悟史 (千葉)
5位 中島 良介 (東京)
6位 桑原 晴彦 (神奈川)
男子フィジーク<176cm超級>
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左から6位・川原康広、4位・蟹澤磨亜玖、2位・岩田卓磨、優勝・齋藤真人、3位・菅原辰馬、5位・永井嵩士
176cm超級は今回も絶対王者・齋藤真人の独壇場であった。齋藤の凄さは出てきた瞬間に感じる圧倒的な存在感だ。部位的には特に腕と背中のスケールがもの凄く。写真を見ておわかりだと思うが、骨盤から生えているかのような広背筋はいつ見ても惚れ惚れする。それから意外にも感じるかもしれないが、脚の見えている部分、細かい血管が走るカーフと前面の質感も他選手との比較で優位に立つ要因で、おそらく脚のトレーニングもしっかりとこなしているのだろう。アジア代表選手に選考され、このままアジアも制してもらいたい。今回絶対王者を追う若手にも明るい兆しが見えた。
2位・岩田は齋藤に迫るほどの筋量の持ち主である。昨年までは固いステージングだったが、ポージングも徐々に慣れてきたようだ。コンテストを重ねるごとに確実に進化しているので、このままチャレンジしていけば、いずれタイトルを獲るだろう。
3位・菅原はスケール感は齋藤をも凌ぐ。学生のボディビル大会の時から目立っていたが、驚異的な肩幅は、どの大会でもナンバーワンだ。これまで仕上がりに難があったが、今回はなかなかの仕上がりであった。しかし、上位2名を倒すにはもう一絞りが必要であることも事実だ。
4位・蟹澤は弱冠21歳の若武者だが、スケールが大きく今後に期待が持てる。初参戦としては落ち着いたステージングで、大物の片鱗を見せてくれた。万全な調整ができるようになれば、このクラスを背負って立つ存在になるかもしれない。何よりこの若さとイケメン、そしてこのスケール感。これだけ揃えば期待しない訳にはいかない。
5位・永井は長身でプロポーションも良いので、このままのスタイルでバルクアップしていけば、今後面白い存在になるだろう。
6位・川原はこの面子に入ると正直厳しい。しかし、全日本クラスの選手達と共に戦えたことは必ず明日への飛躍へ繋がるだろう。
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優勝 齋藤 真人 (東京)
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2位 岩田 卓磨 (東京)
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3位 菅原 辰馬 (埼玉)
優勝 齋藤 真人 (東京)
2位 岩田 卓磨 (東京)
3位 菅原 辰馬 (埼玉)
4位 蟹澤 磨亜玖(神奈川)
5位 永井 嵩士 (京都)
6位 川原 康広 (宮城)
- レポート :
- 本誌編集人・中島康晴
[ PHYSIQUE MAGAZINE 006 ]